業務日誌

2003/08/24 Sun 「MATRIX OFF 上映会」

正午前に文京シビックホールへ。文京区役所も入っている複合ビル「文京シビックセンター」内の施設です。何度か横を通り過ぎたことがあり、その度にこの二十数階建てのビルを見て「さすが東京の役場は違うねぇ」などと田舎者らしい感想を抱いておりましたが、あらためて近くで見てみると上層階の窓際に書類が山積みになっていたりして、なんだやっぱり役所らしい見苦しさも見え隠れしておりますな、などと苦言を呈しながら建物の中へ入っていきます。

入場券とミニパンフレットそして、ここの小ホールにて今日は「MATRIX OFF 上映会 〜Enter the OFFMATRIX〜」。この夏全国各地で何度となく開催されたマトリックスオフの記録映像上映会です。さて、1300円の当日券を購入してホール内に入ってみると、「小ホール」とはいえ300席以上の階段座席があるかなり本格的な場所で驚きます。何でも上映会の運営だけでもおよそ70名のスタッフがかかわっているとのことで、マトリックスオフの規模は想像していたよりもさらに大規模なものだったようです。

ジーとブザーが鳴って開演時間になっても、会場中央部の座席がガランと空いています。これらの座席はもちろん……そう、エージェント・スミス氏たちの席であります。ホール後部の両サイドにある扉から列になって入場してくる黒スーツにサングラス姿の「スミス」および「メスミス」は、見た感じ100体近いのではないでしょうか。拍手で迎えられたスミスたちは1列ずつ座席の通路を埋めていき、先頭のスミスの指示で一斉に着席します。

まず最初にスクリーンに映し出されたのは、6月29日に行われた最大規模のオフと、6月7日に行われた最初の渋谷オフの映像です。私は6月15日の大量にスミスが集まった回以降の写真しか見たことがなかったので、参加者が10人程度しか見られない7日の画はなかなか印象的でした。27日には200人以上のスミスを集めることとなるこの企画ですが、10人→200人の成長をわずか3週間で達成し、さらに人数が多くなるだけでなく映像のクオリティも段違いに上がっているというのが驚きです。

続いてさらに興味深かったのが各地で行われた地方オフの映像で、千葉名古屋福岡京都札幌と続きます。東京だと都心部では派手な動きのできる場所がありませんが、地方は中心街でも割と余裕があるのか、いろいろと工夫を凝らしたシーンが多数見られます。また、アクションだけでなくパロディのセンスも抜群で、福岡ではネオとスミスが互いに飛びかかったと思いきや相手の口にうまい棒を突っ込んで喰わせるなど、単なる模倣で終わらせないところがさすがです。あと、一般の通行人を半ばわざとの写り込ませたり、スミスがふつうに切符を買って電車に乗るシーンなどが多く差し込まれていたりして、こういうところはやはり笑ってしまいますね。

後半はスミスが大勢で遊園地を訪れる映像や、特別編集版などの上映。遊園地はちょっと興ざめでしたが、まぁ作品を自由に操れるのは制作者の特権か。最後は29日オフの幹事を務めたアーキテクトタンク氏へのインタビューが行われ、マトリックス レボリューションズの公開後、11月16日に次回のオフを考えているとの発表が行われました。そして、マイクは上映会の幹事であるNeko氏に渡り、締めの話が終わろうとしているそのとき、舞台袖から1体のスミスが登場。手刀をNeko氏の腹にめり込ませた瞬間にステージは暗転、そして再び照明が点いたときにはNeko氏は上書きされてスミスになってしまいました……ってベタな演出で非常にOKな具合です。

ムネオハウスのときにあれだけ熱中した私ですが、マトリックスオフについてはあまり関心を示していませんでした。なぜかというと簡単で、マトリックスを2回ほど観たもののほとんど記憶に残っていなかったので、マトリックス リローデッドは全然観る気がせず、つい先日までリローデッドの内容を全然知らなかったというだけで。

がやはり、板をひとつ立ち上げるほどの規模と影響力を持ったイベントをこのまま見過ごしてしまうのももったいないと思うようになり、ちょうど良いタイミングで今回の上映会があると知ったので、あわててリローデッドを観てようやくオフの趣旨を理解したという具合です。私は前作にもリローデッドにも「映像としての見所は多かったけど面白かったかと聞かれると即答しかねる」という平凡な感想を持っていましたが、これだけインスパイアされる人が多く、いじり甲斐のある作品だったのだということを今回認識し、一般の人々の間ではともかく、映像にかかわる人の間ではきっと長く語り継がれる作品なのだろうなという印象が残りました。

さて、大変おもしろく興味深いイベントだったということはわかったのですが、じゃあ今後機会があれば参加してみたいかというと、そういう気にはならず。ムネオハウスのときもそうでしたが、やっぱりこういうイベントって最初の爆発力にかなう魅力はないのですよね。マトリックスオフでは、何体ものエージェント・スミスがネオの上におおいかぶさって、それをネオがはね飛ばすシーンを「わらわらばーん」と呼んでいるということを今日知ったのですが、やっぱり一番楽しいのはわらわらばーんをやろうと思った人、それに「わらわらばーん」という名前をつけた人、そしてそれらに共感した人たちであって、わらわらばーんがあるからみんな集まれというステージには、もう先はないだろうと。

作品世界構築のための設定がしっかりしている物語は長く楽しめるけど、設定だけ細かい作品は往々にしてすぐ飽きられる、ものですが、大規模オフもまさにそういうところがあって、そのただ細かいだけの設定がまさにわらわらばーんであるような気がしてならないのです。たぶん薄々感じている参加者もいるのではないかと思うのですが。

ただこれだけは確実に言えます。映画でできなかった感激が、今日はできました。

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