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2000/08/08 Thur 晴一時雨 暑 「三宮徘徊」


兵庫県は御津町の浄運寺を後にして、東へ向けて出発です。すぐに、携帯電話の基地局らしいアンテナが前方に見えたのでそれを目指して進んでいきます。2段重ねの不格好なアンテナはもしかしてと思ったら、やはり関西セルラーの基地局でした。「おおー、関東・東海では見られないセルラーだよ」と喜んで、バイクを停めてアンテナの下まで行こうとすると、背後で「ガチャン」という音が。見ると、なんとバイクが倒れているじゃありませんか! それも、5日前に新調したカウルの方向へ……。おかげでクラッチレバーも写真のようになってしまいました。トホホホホホ、セルラーなんてクソ喰らえ! と思いつつも実はauファンである私は複雑な心境。

バイクを倒すとこうなります

握りにくいレバーに往生しつつも、一応ちゃんとクラッチは切れるのでそのまま国道250号を東へ進みます。例によって、途中私にとって特に見るべきものはなく、ただひたすら走るのみであります。途中明石市を通るとき、日本標準時の明石天文台くらいは見ていってもいいかなと思い立ち寄りましたが、今日は休館日でした。

怒りのセロハンテープ

チンタラ走って、11:00くらいに三宮に到着。神戸の中心街って、神戸駅じゃなくて三宮駅なんですね。ついこの間まで知りませんでしたよ。今日は三宮で3:00過ぎに後輩と会う約束をしているので、それまで駅周辺で時間をつぶすことにします。何の気なしにミスードーナツへ入って軽食をとって、トイレに行こうと思ったら「当店にはお手洗いがないのでセンタープラザのを使って下さい」とのこと。いったん店を出てみると、何だ、この店自体が三宮センタープラザという複合店舗ビルの1階だったのです。ビルの入口に回って中へ入り、トイレへ。用を足しながら前の壁を見ると、何やらセロハンテープがベタベタ貼ってあります。よく見てみると、「ウィーンIIは/ボッタクリ/してます!!」という文字の形になっていました。ほう、いいことを聞きました。というわけでみなさん、ウィーンIIという店には注意! なんて便所で写真撮っている私も変ですが。

このセンタープラザという駅前ショッピングビル、かなり年季が入っています。30年近いのではないでしょうか。近年、郊外型の大型スーパー進出にともなって、昔ながらのアーケード型商店街の店がひとつまたひとつとつぶれていく現象が各地で見られますが、このビルの中も似たような印象です。それほど多くはないですが、既に店じまいをしてしまってシャッターが下りたままのテナントがちらほら見かけられます。

そんな中、空き店舗に新しく入ってくる店もあるようです。それらは見ればすぐに分かります。多くの店は婦人衣料や装飾品を取り扱っているのですが、新しいテナントが取り扱う商品は、中古ゲーム・古本(ほとんどマンガ)・プラモデル等の模型・同人誌・エロマンガ・エロゲー等々、いわゆるオタクマーケットであります。古いテナントが撤退していく一方で、そこへ入り込んでいくオタクビジネス。だいたい古い店はビルの端のほうからつぶれていくので、端のほうから濃度の高い店によって、ビルが腫瘍に浸食されていくかのように見えます。

というわけで早速そのような若い(けど不健康そうな)店舗を見て回ることにします。古いテレビゲームとビックリマンシールの専門店「AX」では、ファミコンはおろかセガSGシリーズやカセットビジョンのゲームが、比較的適正な価格で販売されておりなかなか良い感じの店でした。古いゲームというだけでプレミア価格が着いていたりすることも多い昨今ですが、この店はプレミアというほどの価格のものはありませんでした。あと、旧型のファミコンを持ち込むと、RF出力をAV出力に改造してくれるというサービスも行われていました。

フラフラと古本屋やコミック専門店を見ていると、月刊「ばんがいち」のゲスト作家に町田ひらくが。エロマンガ界の詩人とも言われる(いや今勝手に考えただけですが)町田先生、一度読んだだけじゃ何のことやらさっぱりです。というわけで購入。っていうか、わざわざ片道600kmの旅路で、おみやげがこれ一冊というのも、何とも自分らしい。

外へ出てフラフラ歩いていくと、街のド真ん中の交差点のところに震災の資料館があったので見てみます。5年前の写真と見比べると現在では震災の傷跡は見る影もなく神戸に生きる人々の復興に対する熱心な努力が感じられる、とかそんなことを言うのがきれいなまとめ方なのかもしれませんが、このようなカタストロフィをどう捉えればいいのか、傍観者でしかない自分の中でははっきり言って未だに認識できない出来事。結局、時と共に印象薄いものになっていくのでしょうな。そういう言い方は不謹慎かもしれませんがおそらくそうなのだから仕方ない。さらにフラフラ歩いていくと、震災後建てられた神戸市役所が見えました。上の方の展望ロビーには誰でも自由に上がれるので、高速なエレベーターでヒューッと上がってきました。ちょっと見てすぐ下りてきましたが。

市役所展望ロビー

後輩には無事会うことができて、密談を済ませて東へ向けて出発。もう4:00過ぎですよ。今日中に浜松に帰るってなかなか無茶ですね。大阪府内に入ったところで阪神高速へ入り、湾岸線から環状線、そして西名阪方面へ。環状線をグルッと一周しようかとも思いましたが、時間がないのでやめ。奈良県内に入ったあたりで、通行量節約のために下道に下ります。

いかるが町のあたりを通過するも、法隆寺など見ているヒマもなく。まぁヒマがあっても見ないでしょうけどね。と思っていたらクルマとバイクの用品店ドライバースタンドの看板が見えました。おお、ここならクラッチレバーがあるかもと思って立ち寄ると、ありましたよ、しかもホンダ純正部品のものが。交換用と今後の予備に2本購入して、駐輪場で早速交換。おおー握りやすい。クラッチがスパッと切れる。だからどうということもないのですが、朝から握りにくいクラッチだったので喜ばしいことこの上無し。スパッ。スパッ。

天理に7:00に到着。ここからは、往路でも通った「無料高速」国道25号バイパスを走行。もうすっかり日も暮れて、高速料金をケチッているわけにもいかないので、そのまま東名阪へ。鈴鹿の山を越えているあたりから、何だか進行方向の空が断続的にビカビカ光っているのが見られるようになってきました。いやーまさか今日一日こんなにいい天気だったのに雷はないでしょうなどと思っていたら、木曽三川を渡って名古屋に近づいたあたりでポツポツ来やがりましたよ。

名古屋西料金所に到着したところで一気に雨足は強くなり、今日一日の晴天がウソのような土砂降りです。しかし料金所のところまでほとんど降られなかったのは実に幸運でした。閉鎖しているゲートの屋根の下で、ゆっくりとカッパを着たり後部座席の荷物にビニール袋をかぶせたりと支度することができました。通りすがりの大型トラックの運転手の方から「おー兄ちゃん、大変やなー。気ーつけて走ったってや」などと声をかけられ、少し元気を取り戻します。

引き続き、名古屋市の北の端を通って中心街をバイパスする、東名阪の均一料金区間へ入ります。しかしまぁ雨のすごいことすごいこと。前のクルマのテールランプ以外はほとんど何も見えませんよ。あまりに恐ろしいので、高速道路といえど最低速度の50km/h程度で走ります。後ろから追いついてくるクルマには手で合図をして追い越してもらいます。

急に降ってきた雨は急に止むの法則で、名古屋市東部まで来た頃にはもう雨も止みました。スピードを上げて身体を乾かします。バイクで濡れたらバイクで乾かせがバイク乗りの鉄則です。いや本当かどうか知りませんが。さて、今日の朝思いついたのが「どうせ名古屋を通るのだからアレを食さない手はないでしょう」、というわけで藤ヶ丘の中華料理店「味仙」へ。

以前にも何回か来たことがありますが、実家にいる頃にはよく利用していました。早速台湾ラーメンと青菜炒めを注文。あー辛い辛い、こんなに辛い食べ物他にはありませんよ、などと言いながらスープまで全部飲用していまうということは、そろそろ私もこの店のプロフェッショナルになってきたのでしょうか。

店からほど近い名古屋ICから東名高速に乗って、一気に浜松まで帰ってきます。今日はこの数日の中でも最も強行軍でありました。雨中強行軍まで行うとは思っていませんでしたし。浜松西ICから直接学校へ向かいます。部屋ではめぢ氏が今週末に迫った夏コミの作品制作に追われていました。本日は400km弱を走破しましたが、そのまま研究室で徹夜と相成ります。


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