Home

2001/09/04 Tue 曇 寒 「秘境」


3時間ほど寝て、早朝4:00に北へ向けて出発。国道142号で松本から穂高を抜け一気に信濃大町まで走り抜けます。早朝で交通量はゼロに近く、道もほぼ直線なので80km/hくらいで飛ばしますが、それでも地元のクルマには追いつきません。田舎のクルマは激遅か激速かで両極端です。1時間弱で信濃大町駅に到着し、間もなくやってきた初電で先生北帝氏が到着。

今日は、大自然の中で温泉に入ろうということで、大町市の最深部、高瀬渓谷を歩きます。駅前からタクシーで高瀬川沿いに奥へ進み、東京電力七倉ダムへ。ここから先は公道でなく東京電力が管理する道路なので、歩行者と指定タクシー以外は一切進入禁止です。管理所が道路を開ける時間までここでタクシーは一時停止。6:30になって道が開いたので、さらに奥にある高瀬ダムまで進みます。タクシーが入れるのも高瀬ダムまでで、後はすべて徒歩で進むことになります。

ギコ   いよいよそれらしい

高瀬ダムから渓谷の奥へ進むにはまずトンネルを抜ける必要があります。トンネルは暗くて長くてジメジメしていて、いやがうえにも探検気分が高まります。壁面をおおうコケに足跡を残し(写真左)、先へ進みます。トンネルを抜けてから1時間ほどは、車両も入れる幅広の道がダム湖に沿って続きますが、その先は狭い道になり、いよいよ山歩きらしくなってきます(写真右)。

名無避難小屋   表札

道が狭くなってからさらに30分ほど歩くと、今夜の宿泊場所である「名無避難小屋」に到着します。名前がないから名無しなのかと思いきや名無という名前なのです。避難小屋とはいえ、土間は広くて部屋には棚もあり、寝袋さえ持ってこればすぐに泊まることのできる立派な建物でした。雪が降らなければ遭難のしようがないような場所なので、避難目的に使われたことはなく、たまに貧乏ハイカーが利用しているだけの模様。

湯俣温泉地獄

しばらく休憩して、小屋に荷物を置いてさらに奥へと進んでいきます。黙々と1時間ほど歩いて、いよいよ今回の目的地湯俣温泉に到着です。何ですってここが温泉、ハイそうです、この河岸全体から温泉がわき出ているのです。温泉の成分で周りの岩が真っ黒になっています。高温の湯がチョロチョロと流れてきているので、水たまりだと思ってうっかり足を踏み入れてしまうと足にやけどを負いそうで危険です。

この河岸をスコップで掘って湯船をこしらえるわけですが、以前にここを訪れた人の作品が残っていたので、我々はそれを利用させてもらうのみです。とはいえ、前日の雨で川の流量が増えたせいか、若干湯がぬるいです。周りの石を拾ってきて積み上げ、川から入ってくる水をできるだけ遮断し、一方で源泉からの湯がうまく流れてくるように誘導路を作ると、少しずつ湯温が上がってきてなかなかよい具合に。そこで油断して湯船に腰を下ろすと、底の砂の間から高温の湯が噴き出してきて思わず飛び上がったりとスリリングです。

丸の湯

石でダムを建設することによる湯温の微妙な調節というゲームをひとしきり楽しみ、ゆっくりのんびり無心に温泉につかり、いや、いつ湯が噴き出してくるか分からないので無心にはなれませんでしたが、充実した時間を過ごすことができました。「雄大な自然」とか陳腐な表現で語らないで下さいよ、単純に「あー楽しい」というのが正解。

「名無し小屋」まで戻って、他に特にすることもないので、先生が持ってきたストーブで湯を沸かしてレトルト食品の夕飯を作り、食し、日没とともに寝袋にくるまって就寝。


前日へ 翌日へ 今月の目次へ 1998年 1999年 2000年

Home