業務日誌

2007/12/14 Fri 「初音ミクとPerfumeとおしりかじり虫と」

丸の内線の終電で2年ぶりの新宿HEAD POWERへ(後から調べたら深夜は「club hoop」に名前が変わっていたらしい。風適対策?)。何回か来ているテクノポップイベント「電脳マニアックス!」の年末特別版ということで、オールナイトです。このライブハウスは複雑で方角がよくわからない不思議な構造なのですが、半2階の床が取り払われていて天井が高くなっていたのでちょっとすっきりしました。

この時期「忘年会気分で朝まで盛り上がろう!」ライクなうたい文句のライブやクラブイベントが山ほど開催されるわけですが、だいたい行ってみるとMCや転換の度に対バン同士のユルい会話があったりして、客も大部分内輪だったりして、常連客以外朝まで蚊帳の外だったりするんですが、この日はすごく楽しめて良かった。いやお客さんの数は30人で割とガランとしているうえに半分くらいは出演者の音楽仲間や友達っぽくて、そういった意味では確かに内輪ムードだったのですが、みんなパフォーマンスの質は高く、純粋に出し物を見るという逸楽にふけることができました。

で、その中で表題に関する件ですが、最近では音ゲーの曲などで知られるELEKTEL・polymoogさんと電脳マニアックスでは部活の顧問的存在の松前公高先生との対談があったので要旨を採録。深夜3時から対談て。テーマは「今年のテクノポップを振り返る」のような感じです。カギカッコ付きですがだいぶ要約しているのは請うご容赦。

p 「今年、テクノというか打ち込みのツールという意味で大きかったのは、やはり初音ミクかなと」
松 「みんな、あんなことやこんなこと言わせてるんでしょうね、『珍味』、とか?(笑) バーチャルシンガー自体は前からありましたが、売れてませんでしたよね。DTMとかやってる人の間では『ボーカロイド? あーあー、知ってるけど……』みたいな。それがここへ来て大きく売れた」
p 「作った曲をMP3でただ置いとくだけじゃなくて、いまはYouTubeとかニコニコ動画とかで動画を付けて見せられるというのもありますね。元の曲の投稿には4000くらいしかアクセスがないのに、うまく画をあわせたMADムービーが40000くらい見られていたりする」

p 「今年学研のテルミン本(テルミンminiが付録の「大人の科学 Vol.17」)に参加させてもらったんですけど、あのテルミン持ってる人います?」(フロアで手を挙げる人、10人近く)
松 「初音ミクは?」(同、2名ほど)「はー、このイベントは初音ミク率高いかと思ったんだけどなあ」
p 「あの本のテルミンは音が出るというよりも、雑貨的に買って飾ってる人も多いみたいですね」
松 「次はオンドマルトノがほしいな。『週刊シンセサイザー』とかってできないんですかね、1年買い続けるとモジュラーシンセができる」
p 「創刊号が特別定価980円で、次からいきなり3万円とかになりそうですね(笑)」
松 「今週号はVCOが付きます」
p 「次の号はフィルターで……1年経ったらモジュラーシンセが、部屋に飾れる」
松 「えっ、音出ないの(笑)」

松 「今年、ヒットしたのがあるじゃないですか」
p 「capsuleの人がやってるPerfume」
松 「流行ってるんですってね」
p 「アイドルポップが打ち込みから離れていって、打ち込みを前面にしたのはマニアックだと思われていた。それがPerfumeが流行ってマニアと思われなくても済むようになった」
松 「電脳マニアックスもマニアックでなくて良くなったのかもしれない。名前変えますか、『電脳ポピュラー』とか」

p 「そうした背景があり、今年老若男女に受けているテクノポップ……」
松 「何を言いたいんでしょうか」
p 「……『おしりかじり虫』を作曲された松前さん」
松 「20年音楽活動やってきましたが、自分の曲をヒットチャートに送り出したのは初めてです(笑)。子供たちと女子高生にしか受けてないんですけど」
p 「いやいや、小さな子供たちの親の世代も、自分たちが子供のころに聞いたテクノポップをおしりかじり虫の中に見出しているのでは。一見子供向けなんですけど、何回も何回も聴き込むと、いつもの“松前節”の音色がちゃんと聴こえるんですよ」
松 「カラオケバージョン聴くと、こんなこともやってるのか、とわかりやすいですよ」

松 「来年は電脳マニアックスからPerfumeみたいなのが出るといいね。大阪で見たライブで、電マニに出ていても全然おかしくないような音楽をやってるバンドがあったんだけど、ものすごい数の女の子が来てた。なぜファンが付いたのって聞いたら『お化粧の仕方を変えた』だって」
p 「そういう、ビジュアルの何かツボがあるんでしょうね。さっきのニコ動とかでもそうですけど、何が受けるかっていうツボが細分化されてわかりにくくなっているのに、一度そのツボを押すと、すごい勢いでピューッと吹き出すという……」

いやー、本当にいいお話でした。あ、松前先生の『シンセサイザー入門』、アマゾンで予約しました。簡単で恐縮ですがライブの感想は

DEFRAG……この日はpLumsonic!のDoctor Y.K.とぽらぽら。さんと和風テクノバンド金色の樽兵衛さんの3人構成。あのすいません、パンダの格好をしたぽらさんがキュートすぎてあまり音を聴いてませんでした。

ホモンズ……いつか見たいと思っていたオカマユニット。このテンションで11年も活動しているのだからすごい。ある晴れた昼下がり市場へ続く道について歌ったナンバーを独自の解釈で再構成した曲は必聴。ドナッ・ドナッ・ド・ドナドナー

□ cubic Louvre ▲……プロフィールを見ても何のことやらでしたが、メンバーのお一人は山下総合病院の院長でした。いきなりテキストtoスピーチな声で「コンバンワ ハツネミクデス シュミワ ギンコウノトイレヲ カリルコトデス シュミハ ケンドウノボウグノニオイヲ カグコトデス シュミワ ゴキブリノショッカクヲ……」と強烈なアイロニーでスタート。しかし曲はあくまで美しい。

pLumsonic!……休憩時間を挟んでわりとフロアがぬるくなってから始まってもいきなり盛り上がりをピークにまで引き上げられるさすがのパフォーマンス。以前お客さんが10人とか極端にガラガラのときに見たこともあるのですが、そのときでもステージングはまったくブレずに完璧でした。かといってストイックさは微塵も感じさせず底抜けに明るいのです。いつの間にか結羽さんのプロフィールが変わっている。プラムソニックのヴォーカロイド。2039年製。確かに。ヴォーカリストのアンドロイドだからこの人(?)こそ本物のヴォーカロイドだ。

フォーチュンめがね……おおお、Webログ語でいうとこれはカワユスカワユス。T4Pのコンピレーションアルバムに入っている1曲しか聴いたことありませんでしたが、ちゃんとした録音をもっと聴いてみたくなりました。買いに行きます。

といった具合でした。ああ、えーとPerfumeについては「いや、俺は広島時代から知ってたけどね、」的な話にしかならないのであまり吐かないようにしていますが、まあ強いて何か言うとすればあーちゃん→ラン、かしゆか→スー、のっち→ミキってことでオーケー? 自分もちろんあーちゃんしか見てないけどな!

Perfumeには来年こそ春一番もしくは暑中お見舞い申し上げますをカバーしてくれることを期待(でもそれやったら一発屋の2枚目のシングルみたいか)。

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