2007/05/12 Sat 「MOTOCOMPO、記憶から行く先へ」
夜に原宿EX'REALMでMOTOCOMPOのアルバム「Chiptop Lips」(試聴はこちら)発売記念ライブへ。MOTOCOMPOのフルアルバムとしては実に6年半ぶりで、本当に渇望していたので3月末に購入してからほとんど毎日聞いています。しかもCD購入すれば今回のライブはドリンク代のみで入れるという(といっても差額は1000円ですが)大盤振る舞いです。
例によってスタート時刻にちょっと遅れましたが何とか到着して入ってみると、約150人収容の会場はほぼ満員で、割と客のリアクションが少なめなMOTOCOMPOのライブとしてはだいぶ盛り上がっている感じです。空いているところを見つけて奥へ入っていくと、なななんだなんだ、ステージに天使がいるよ!
いやそのくらい今日のchihoさんはキュート。なんか白いスモックみたいな……って被服に関する語彙が少なくて全然伝わらず恐縮ですが、そんな初めて(?)見せる衣装の可愛らしさもさることながら、いままでとは何かが違うどこか吹っ切れたような表情を見せてくれて、MOTOCOMPOのライブはいつも楽しいんですが今日は楽しさに加えて幸福感とでも言えるような空気が会場を包んでいますよ。一体なんでしょう、ステージを眺めていると心がとろけていくようなこの感覚は。あっこれがいま流行りの萌えか(違う)。
MOTOCOMPOは今年秋で活動開始10周年を迎えるベテランですが、思い返してみるとワンマンライブは初めてかもしれません。そんなわけで演目もアルバムの最新曲からずいぶん昔の曲まで活動全期からのセレクションで、おそらく今日演奏された中で一番古いと思われる「SKI」は1999年2月発売のカセットテープ「FOREVER LASTING JOKE」(写真。インディーズ市場でもカセットテープの発売というのはこのころが最後か)の収録曲。いわゆるニューウェーブだったこのころの曲とディスコ寄りのいまの曲は違うけど似ているというか、違うけど違和感なく聞けて好きなんですが、こうして自分たちの姿を自分たちで変えていけているというのはすごいなとつくづく思います。
曲数盛りだくさんでしたが約2時間のステージはあっという間。今回はアンコールに加えてダブルアンコールにまで応え、これはMOTOCOMPO始まって以来初かもしれません。最後のほうではchihoさん感極まっていたようですが、いつもクールなDr.Usuiも「ホントありがとうございます」とか言っていて、ワンマンで安心してはじけることができて本当に嬉しかったんでしょうね。それはお客さんも同じです。文句なしで過去最高のライブでした。
会場を出ても興奮が続いているので、涼むために原宿から代々木までひと駅歩いて帰ることにします。乾いた心地よい風を楽しみつつ「こんなところに歩きで来たのは初めてだな」と思いながら北参道の交差点まで来て、駅はどちらだろうと周囲を見回したとき、道路の形を見て「いや、ここは初めてじゃない」……昔、当時住んでいた浜松から東京へ遊びに来たとき、この交差点まで千駄ヶ谷のほうから歩いてきて、代々木駅へ斜めに抜ける道へ進んでいった覚えがあります。帰ってきて調べたらもう8年前のこと。これといったイベントがあるわけでもなく、単純に都会で時間を過ごしたいというだけの目的で東京にやってきたのは、このときが初めてでした。MOTOCOMPOを聴き始めたのもこのころ。こんなに長く同じバンドのファンであり続けられるとは思っていなかったですし、しかもこうして用もないのに数年ぶりに同じ道をぶらつくことになるとは。なんだか、ロールプレイングゲームの序盤で手に入れた用途不明のアイテムが、後のほうで実は物語のカギになっていて「ああー、ここで使うのか」、そんなような感慨がこみあげてきました。