2005/05/21 Sat 「高橋名人20周年記念」
めでたく上京された地めぢさんをお誘いしてロフトプラスワンで開催される「Bugってナイト〜高橋名人の成人式〜」へ。Bugってナイトは既に何度か開催されているのですが、高橋名人をフィーチャーした、いやなんか「フィーチャー」って言葉は好きではないです、高橋名人がメインで出演するライブイベントです。早速プラスワンのビルの地下へ続く階段を下っていこうとすると、結構階段の上のほうまで人が列んでいます。ひとまず最後尾に着くと、下からスタッフの方が上がってきて「えーと、ここまでだな」と、ちょうど我々の後ろで列を締め切ります。聞いてみるともう中はいっぱいに近く、これ以上当日券を出せない状況とのこと。あと少し遅かったら入れないところでした。
で、具体的にはどういうイベントなのかあんまりよくわかっておらず、単に高橋名人が見られるということでやってきたわけなのですが、会場はイスが片付けられており全席立ち見で、それでもほぼ満員でいったい何人ここに入っているのか。今回は高橋名人の名人襲名20周年を祝うという趣旨なのですが、自分のイベントなのに司会が高橋名人本人です。で、ライブの合間に高橋名人のトークと、CONTINUEのイベントでも人気の高橋名人マニア「高橋名人名人」の面々のレアグッズ紹介が挟まれるという構成。
しかし今日ライブにYMCKが出演するなんて、ここへ来るまですっかり忘れとりましたよ。YMCKは、ささやき系ポップをジャズで味付けしてチップチューンサウンド(いわゆるファミコン音)で奏でるという感じの3人組で、今やピコリ系ミュージシャン最右翼とも言える存在です。当然私もずっと注目しておりまして、CDが発売される前から自主制作盤(CD-Rで500円!)を購入して楽しんでいたのですが、ライブは初めてです。
ってライブで聴いてみれば、こりゃもう「やられた」というか、こういっては大変失礼なのですが本当に想定外の良さ。ここまで完成されたショウのできるグループだとは思っていませんでした。お客さんのほとんどは高橋名人目当てで来ており、おそらく普段ライブハウスに出かけることのないような方もけっこう混じっていると思うのですが、それでもきっちりウケるようにゲームを素材にしてネタを作り込んであったり、途中で高橋名人をステージ上に招いて16連射の発射音を「生演奏」してもらって曲に組み入れたりと、繰り出されるアイデアはことごとく大ヒットでした。たぶんピコっていなくてもかなり聴ける楽曲のクオリティがあるうえで、これだけ「タマ」を用意されてくると、まいりましたと言うほかありません。
というわけでYMCKのライブが終わったあたりですでにニコニコ顔で満足しきっていた感じだったのですが、もちろん高橋名人のトークも面白い。ハドソンに入社して数日で東京へ行かされて出張だと思っていたら転勤だったとか、当時は子供たちやテレビの視聴者をあっと驚かせるためにパスワードを暗記しなくてはならなかったとか、第1回全国ファミコンキャラバンのときの話とか、わりと有名なエピソードが中心でしたが、当時コロコロコミックとガッチリ組んでやっていたのに小学館以外の雑誌に応対したことで上役から怒られたなんていう、今だから言える話もちらほら。
名人自身のライブは得意のバラード中心で、会場はあの色っぽい声で包まれます。いまさら高橋名人の歌の上手さについて何も言う必要はありませんが、20年前から歌声には少しの変わりもありません。本当に変わらない。一応過去にはレコード出したのでプロミュージシャンではあるわけですが、本業でもないのにこの歌唱力を維持できるなんて、天賦の才なのでしょうね。
夜7:00から4時間くらいの長丁場でしたが、最後の曲はおなじみ「Bugってハニー」の主題歌(小林亜星作曲)です。名人はこの曲のために会場のスクリーンに映す映像までDVDで持参していて、これきっと昨日の晩とかに自宅のパソコンで素材つないで焼いたんだろうなと思うと、ますます親近感が沸くところが名人の魅力です。アンコールでもう一度Bugってハニーを歌ってお開き。
名人が20周年を迎えたということは、自分もあれから20歳分の歳を喰ったということにふと気付き、当時テレビに出ていた名人とそれを見ていた自分の姿が脳裏に浮かんできて、何とも感慨深いものがあります。あのとき私たちに夢を与えてくれた兄貴はいまこうして酒場で裏話、あのとき夢を見ていた私たちはいまになって理解できるようになったその「大人の事情」に声を上げて笑う。何というか、共に大きくなってしまったものですね。まぁいまでもスイカ割れて喜んでるんですから、私たちは全然成長していないのかもしれませんが。