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2000/12/14 Thur 晴 やや寒 「聖地」


ゲッ、起きるともう11:00です。朝から東京へ行く予定だったのにダメじゃないですか。すっかり意気消沈しつつも支度をして浜松駅へ。何時の列車に乗ったか覚えていませんが、熱海で一度乗り継ぎがあって、その先も快速ではなく普通で、結局東京駅に着いた時点で夕方5:00過ぎていましたね。

何かもう東京駅に来ても昔みたいに感動がありませんね。ただ目的地に到着するまでに通るルーターの一つに過ぎない感じで。中央線ホームで「快速ばっかで各停が来ねぇぞ」なんて思って、来るはずのない各駅停車をしばらく待ち続けたのも今となっては懐かしい。そんなわけで、中央線快速に乗って新宿へ。

特殊ドライバーが1本ほしかったのでTAKASHIMAYA TIMES SQUARE内の東急ハンズで購入。それから歌舞伎町方面へ歩いて、松屋で夕飯にカレー食して、トークライブ居酒屋LOFT/PLUSONEへ。もう説明するまでもないサブカルチャーの聖地。本日はここで、酒を飲みながらファミコンのゲームをプレイしまくるイベント「ファミコン1000本ノック」の第3回が開催されます。

開場前に行ってみたら、別に行列も何もできていないので、それほど混むこともないなと安心してちょっと現場を離れていたのですが、開場の6:30を10分くらい過ぎたあたりで入っていくともう6割くらいの席はうまっていました。開始時刻の7:30にはほぼ満席で、後から入ってきたお客さんが往生していました。その間に私のハイネケンは2杯目へ。

米光一成氏平和島ミチロウ氏がステージに上がり早速プレイ開始。マシンはツインファミコンのようですな。いきなり「ゼルダの伝説」をロードして始めます。「これまでこのイベント2回やってきて、ダラダラしてメリハリがないっていうご意見もいただいていますが、『友達のうちでダラダラファミコンやってる』って感覚のイベントですので」ああ、そうですよね、ファミコンってダラダラやるのが一番楽しいですよね。

客席があんまり盛り上がらないので、米光氏「ゼルダでさめてるなんて、みんなネタばっかり期待しているの」。というわけで続いて取り出されたのは「スペランカー」であります。「スペランカーなら俺に任せろ」ってヤツ出てこい、という呼びかけに応え、お客の一人が立ち上がってステージ上へ。「ああ、まだ乾杯していないから、これ1面クリアしたら乾杯にしよう」ということになり、にわかに客席は盛り上がります。

で、客席から立ち上がったプレイヤーは、2回ほどのミスもありながら、テキパキと宝物や爆弾を獲得していきます。キレイに毒ガスを飛び越えたり、危なっかしい操作から見事に復帰したりすると、客席からはウォーという声と拍手が上がります。この会場に来ている人たちならきっとスペランカーの1面くらいみんなクリアできるだろうに、この盛り上がり方は何なんですか。さすがは聖地プラスワン。

ZUNKO氏

特別ゲスト第1弾としてステージに登場したのはナムコの小沢純子氏……っていわゆる「ZUNKO」氏ですか! マジっすか!いや、会場に入って来られたときから、ひょっとしてZUNKO氏でないかとは思っていたのですが、やっぱりご本人だったのですね。一応ご説明しますと、小沢氏は「ドルアーガの塔」「スカイキッド」等のサウンドを担当された方で、スタッフロールには「ZUNKO」の名で出ていたのです。実名が出ないエンディングというのも今は昔。

「当時のROMはほとんどロクヨン(容量64kビット)だったんですけど、ゼビウスのころやっとニゴロ(同256k)が出てきて、それがなかなか手に入らなくて、ひとつ8000円くらいして、ウチにも3個しかなかったんですね。プログラマは割とウーンウーンと考えてからやっと打ち込んで、それからROMに焼くんですけど、サウンドの人間ってのは割とどんどん焼いちゃって、聴いては『あぁこれダメ』って言ってまた別のに焼いて、って感じでどんどんROMを使っちゃうんですよ。で、あるときロクヨンの中に1個だけニゴロが混じっていて、そうだと気づかずに焼いちゃって上司に『オイどうするんだ! 3つしかないんだぞ!』ってド叱られて始末書ものになったこともありましたね(笑)。あと、ROMのムカデ足の極性間違えてROMライターに入れちゃって、ROMが真っ赤になってダメになっちゃったとか」うー、今となってはむちゃくちゃイイ話ですね。時代を感じさせる。涙が出る(←マジ)。

その後、ZUNKO氏がサウンドを担当された「ラサール石井のチャイルズクエスト」のCMビデオが上映されたり、チャイルズクエストをメインで制作された方が出てきて裏事情がいろいろ明らかになったりと、大変楽しい話が続きます。


続いてのゲストは元ゲーム批評編集長の小野憲史氏です。「どうしてゲーム批評を辞められたのですか」というのっけからの質問に、何もかも包み隠さず話してしまって「ワッハッハ」な小野サン、相変わらず正直者です! で、小野サンおすすめのファミコンソフトは、洋ゲーだったのでしっかりとはタイトルを覚えていないのですが、確か「フォステージ」とかいう名前で、敵のアジトに忍び込んで組織を壊滅させるという内容のゲームでした。「これなら任せて下さいよ」と大きなことを言って出てきた小野サンでしたが、最初の侵入シーンから死にまくって失笑を買っています。しかし最終的には1ゲームクリアすることができてめでたしめでたし。

超能力者の清田氏も開発に携わったという超能力開発ソフト「マインドシーカー」の話題になったときは、元「HiPPON SUPER!」誌読者のジョッカーアキラこと、気功師毒拳氏がステージ上に上がり、実は先日清田氏にあったばかりだが、「あのゲームはなかったことにしてくれ」とのことだったというコメントを伝えます。HiPPON SUPER! 元読者掲示板で既にこの話題は出ていたのですが、より詳しい内容を聞かせていただくことができて大変面白かったです。当時、清田氏ご本人は、本気で超能力開発ソフトに取り組んだそうですが、清田氏の力をどのようにしてプログラムというディジタル情報に変換したかは全くの謎。

続いてステージ上には、主婦イラストレーター・マンガ家として、そして鈴木みそ氏のアシスタントとしてご活躍中のはやのん氏が登場。取り出すゲームソフトがどれも二本ずつなのですが、なぜかというと、ダンナも持っていたので有名どころはみんなカブってしまうという。オタク(ほめ言葉)どうしの結婚とはそういうものかと、みな妙に納得。しかし、カブっちゃうんですよねーと言いながら最後に取り出した2本のソフトが「超人ウルトラベースボール」だったのは、あなた方それ絶対変です(最大級のほめ言葉)。

途中休憩時間には、掲示板でお会いした元HiPPON読者の方々にごあいさつ。いやもう皆々様当時HiPPONを読まれていたころ、こうしてお互い出会うようなことになるとは思いもしなかったわけで。おまけにこんなアクの強いイベントで。というわけで、このイベントをハネた後オフ会開催決定。おおっと、客席の比較的近い位置に先ほどの小野サンがやってきました。以前お会いしてからかなり経っていますが、赤尾研の者ですと名乗るとすぐに話が通じたので嬉しかったです。師匠が行方不明(謎)で申し訳ないです。

その後もレアなゲームがたくさん出てきて大変面白かったのですが、登場した個々のソフトの説明はカカキッシ氏のページにゆずるとして、私が特に興味深かったのは、「高橋名人vs毛利名人」の映画をテクノに乗せて編集したビデオでした。元の映画は、前半に両名人の修行シーンがあって、後半は実際の対戦の模様を納めてあるのですが、その後半は記録としては価値があるものの、楽しんで鑑賞するにはちょっとダルかったのです。それがこの編集ビデオでは、テクノに乗せて対戦シーンをどんどん早回しにして流し、その中にうまく修行シーンを織り交ぜてあって、大変テンポよく両方のシーンを楽しめます。ビッグスターブレインに16連射で挑む高橋名人のアップ画面から、連射により指だけでスイカを割ろうとする画面に突然変わると会場は大爆笑、見事にスイカが割れると拍手の渦でした。会場中が高橋萌エ〜。

お客さんもソフトを持ってどんどんステージに上がり、自慢のネタを披露します。いやーそれにしても全体を通して感じたのが、みんな持ってくるネタ自体確かに面白いものばかりなのですが、それ以上に、それぞれ自分なりの紹介の仕方が面白い。なんというか、ちゃんと落としどころを心得て、面白い点をうまくまとめて紹介しています。それで、話しながらプレイするとミスしたりして「あれっおかしいな」ということが多いのですが、それがかえってバカ度を上げていてますます面白い。そんなに人を笑わかすのが集まっているとも思いにくいので、やっぱりこれは対象への愛の深さがなせる技なのでしょうね。

7:30に始まったのですが、終了は12:00前で、ほぼ4時間半にわたってファミコンのノンストッププレイでした。本当にいつ来てもプラスワンは面白い。催事の内容自体が面白いのもさることながら、ここへ集まってくる人たちとのつながりはなお面白い。我々は聖地に巡礼しにくるピルグリムといったところか。さてさて、この時間になると当然私はもう浜松へ帰りようがないので、こりゃ朝まで飲みだなという。いやもうハイネケンを5杯も飲んでいるのですけどね。プラスワンではいい話を聞けるものですから、ついついたくさん飲んで出演者に還元したくなり、料理注文しなくても3000円とか4000円とかになってしまう。っていうかいつでも飲みたいだけでしょうが。

その後、はやのん氏・毒拳氏・カカキッシ氏・べやん氏という元HiPPON読者で歌舞伎町のつぼ八へレッツゴー、小オフ会と相成ります。持参したHiPPON等を眺めながら懐かしい話になったような気がするのですが、あのうすいません、もうこのあたりで相当酔っぱらっていて、まともには話の内容覚えていません。みんなで初電までマターリしようぜ、という感じだったのですが、はやのん氏は原稿の直しが急遽入ってしまって無念の途中退出。出版人のつらさを目の当たりに。

連日の移動で少々疲れていた私は2:30くらいでかなりノックダウソしていて、半分くらい寝ていました。毒拳氏に気功の実演をしていただいたり、べやん氏の持ってこられたゲームボーイ版ドラクエ3の最初の占いをみんなでやってみたり。ちなみに、私は「ちょっとわがままさん」だそうです。でも憎まれないタチという解説がついていました。ということなので、みなさん、今後は私もう少し好き勝手やらせていただきます。憎まれないからねブヒヒヒ。

3:00過ぎにはつぼ八を後にし、べやん氏と毒拳氏と別れ、カカキッシ氏と私と私の連れの3人はプラスワンの横にあるうどん屋へ。ここは早朝から営業しているのですが、ガンガン飲んだ後のうどんは腹に優しくてありがたいです。新宿駅が開くのを待ちながら、カカキッシ氏の業界話を興味深く拝聴します。いやーそれにしてもHiPPON読者時代には雲の上の人だった方とこうしてお話できるなんて思ってもみませんでしたよ。始発に乗って、お茶の水でカカキッシ氏とは別れ、私は東京駅へ。以前解説した5:20発の静岡行きに乗り込んで、静岡で乗り継いで、浜松着は9:39でした。ハイお疲れさまでした。ちょっとね。


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