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2000/10/07 Sat 晴 やや暑 「商店街」


多くの人から「日高くんって理屈っぽいー」と云ふ批判を頂戴する亊が度々御座ひます。然し、此迄の人生を振り返つてみると、理屈等關係無く其の場の思ひ付きで行動してゐる塲合の方が圧倒的に多ひやうな氣がするので有ります。私が理屈ぽいと云はれるのは、グヂグヂと理屈を考へてから行動するせひではなく、むしろ、思ひ付きで行動してしまつた亊に何らかの正當性を持たせる為に、後になつてから彼れ是れと理屈を捻りたがるせひなのでせう。此のやうな行動樣式は、考へ無しに弌時の快樂だけを求めセヱフセツクスを捨てる若者のやうでもあり、又、後付けの理屈と云ふのは、「だつて今日は安全日だろ」と云ふ氣休めの言葉と同じやうな物に過ぎなひのでは無ひか、と思ひを巡らすのであります。

というわけで、昨夜思いついたので今日は東京へ行きます。理由なんてないです。2時間半しか寝ていませんがいいのです。いやいや、そういえば後付けっていうかちゃんと理屈がありました。あまり知られていないのですが、10月は、俗に「秋の18切符」と呼ばれる「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」が発行される月なのです。18切符と違うのは、「5回ではなく3回分」「値段は9180円(1回あたり3060円。18切符に比べると若干うまみが小さい)」「有効期間が短い(今年は10月4日〜22日)」というところで、使い方や乗れる列車は全く同じです。

自転車で浜松駅まで行って、早速みどりの窓口に向かいますがなぜか激混みです。土曜の朝こんなに混んでいたことなかったのに、と思ったのですが、よく考えてみれば今日は3連休の始まりでした。いつも乗っている6:55発熱海行きに間に合うかどうか心配でしたが、1分というギリギリの余裕で何とか列車に飛び乗ります。眠いのですぐに就寝。起きると熱海、乗り換えてまた寝て起きると品川、11:11東京着、いつも通り。ここまで通い慣れると、浜松−東京間など本当に一瞬の出来事です。中央線に乗り換えて西へ。

今日は、前回の上京に引き続き、「中野ブロードウェイ」を攻めます。音楽・映画・サブカル系雑誌専門古書店「TRIO」で適当に漁っていると、ゲッ、1993年のYMO復活ライブ(東京ドーム)のパンフが出てきてしまいます。2500円。うへー、でもこんなものその辺のレコード屋かどこかで600円くらいで出てくるだろうな、そんな昔のものじゃないしな、2500円ってのはいくら何でもちょっと高いかな、そうですよ冷静に考えるべきですよと思いながらレジへ向かって即購入。日本が景気回復したら私のおかげだと思って下さい。

その他、超硬派バイク雑誌「RIDERS CLUB」の1990年5月11日号に我が愛車CBR250RRのインプレが載っていたので購入。今では生産中止となっているこのバイクですが、この記事を読むと、10年前は超マジョリティであったことがうかがえます。当時の250ccバイクの中ではトップクラスの人気車でした。ゲットバックバブル期! あ、今はネットバブルか。もうはじけちゃいましたけど。

昼飯は、中野ブロードウェイの建物内にある小さな食堂でスタミナ丼セット(サラダ・コーヒー付で450円 中盛は+50円 大盛は+80円)の中盛を食します。そんなにうまくもないのですが、どこか店に入って何か食べようとすると最低でも600〜700円はしてしまう中で、この低価格は嬉しいです。昼飯後は、カルト本とカルト古書とミニコミとカルトインディーズCDの店「TACO che」(タコシェ)でミニコミを漁ります。「バカが作るバカ新聞(拡大版)」「モテない問題を考える会通信」第4号、大変読み応えのある「ZAMDA」の創刊準備号・創刊号・第4号、を購入。

ブロードウェイから出てきて、中野を後にします。今度は、純情商店街が名物の街、高円寺へ。いや、ねじめ正一の純情商店街が今もあるのかどうかは知りませんが。高円寺駅前は、中野駅前の縮小コピー版のような感じでした。早速フラフラと徘徊を開始。「高円寺文庫センター」という小さな書店で、誰かのサイン会をしていました。こんな小さな書店でもサイン会を開催したりするのですね。


サイン会は別に興味ないのですが一応店内をのぞいてみると、読みたい雑誌や本がワンサカ出てきますよ。いや、Villege Vanguardのようないかにも特殊な書店ではなくて、見た目はどこの街にもあるようなごく普通の小さな書店なのです。それなのに、「Quick Japan」がバックナンバーと共に大量にそろえてあったり、平積みにしてある音楽誌の中で一番たくさん入荷しているのは「MARQUEE」だったり。このくらいの広さの書店なら浜松にだっていくらでもありそうなのに、売場の棚から感じられる提案性が全く違う。店員が何も言わなくても、棚自体が「いかがっすかー」と話しかけてくるようです。

そういう書店が生まれてくるという都市の空気をうらやみ、そういう書店を求める人間を集めるという都市の空気をうらやみ、そういう書店を求める人間によってちゃんとそういう書店の経営が成り立つ状態を作り出している都市の空気をうらやみながら、北から南へ練り歩きます。こういうベッドタウンに来るといつも思うのですが、昔ながらの専門店(八百屋さんとかお魚屋さんとかお肉屋さんとか)って、地方よりも都市部のほうがよっぽど多いと思うのですよ。今日も、とあるお肉屋さんの前で主婦の方々が井戸端会議に花を咲かせているのを目撃しました。夕飯のカレーに使う豚肉を買おうと思ってフラフラ出かけてきたところ、すき焼き用の牛肉を買って出てきた隣人と店先で出くわし「あーらお宅も今晩はお肉? うちもなのよ」などと言われ、つい見栄を張って「ええ、すき焼きでもしようかと思ってオホホホホ」と答えてしまい、カレーライスの中にやたら高い肉を入れる羽目になってしまうサザエさんのような会話がきっと繰り広げられているのでしょうね。んなわけねーだろ了解。

ただひたすら歩き回って、PHSの基地局を写真に撮って通行人に怪しまれたりして街観察を堪能します。駅近くのちょっとした公園では、遊んでいる子供とデート中の男女と寝ているホームレスとたむろってるヤンキーが、そんなに広くない空間を共有していて、それが非常に自然に行われていて街っぽかったです。都市とその周辺いうのは、どこを切り取っても何かのワンシーンに使えそうな気がして、そこにいるだけでアスファルトやコンクリートからエネルギーがわき上がってきて、胸が高鳴るのですが、しかし自分はそのシーンに登場する役者ではなくて、よそからやってきた見物人の取り巻きに過ぎないことに気づくわけで、都市のワンシーンを見ているのって、必ずしも100%心地よいのではないのです。でもこうしてわざわざ見に来るのですけどね。

純情商店街がどこなのかは分かりませんでしたが、高円寺から新宿へ戻ってきます。新宿界隈を徘徊するのは久々です。タワーレコード新宿ルミネ店を申しわけ程度にちらっと見て、それから紀伊国屋へ行って、さくらやへ行って、という感じでいろいろ見ます。当然歌舞伎町にも寄って、その手のメディアを扱う店舗もいくつか見て回ったりして。歌舞伎町の西端、西武新宿駅前にあるサンクスの店員は、相変わらずやたら愛想がいい人でした。ここで買い物をしたのは1年以上前なのですが、その過剰なほどの愛想の良さのため深く印象に残っています。日が暮れて人の波が激しくなってきてそれらしい雰囲気になると、歌舞伎町にいるのもやや緊張。

再び中央線に乗って東へ。今度はお茶の水で下車します。ディスクユニオンお茶の水3号店を少し見て、楽器街を抜けて南へ歩いていきます。もう真っ暗で、あまりゆっくり見ている時間がないのが残念です。神田駅まで歩いて行くつもりだったのですが、暗くて若干距離感覚が間違っていて、まっすぐ歩いて大手町まで来てしまいました。銀行や証券会社を中心に大企業の大きなビルが建ち並ぶ大手町ですが、休日ともなると死んだような界隈です。黒くそびえるビル群が不気味です。どこかで軽く夕食をとろうかと思いましたが、KDDI本社ビル内のスターバックスは休みでした。

東京駅まで歩ききって、構内のドトールでエスプレッソとホットドッグを注文。今となっては私もすっかりドトーラーです。それにしてもさすが東京駅のドトール、浜松有楽街の店舗の姉ちゃんに見られるようなやる気のない接客とは異なり、キビキビハキハキしていて好印象。しかし、そんなにゆっくりしている時間もないのにエスプレッソを注文したのは間違いだったか。飲用するのが少し大変でした。口直しにキオスクでサッポロ黒ラベルを購入し、ホームで一気に飲用して7:23東京発熱海行きに飛び乗って、秒速で就寝。熱海で乗り換えて浜松へ。

一日中バッグを肩にかけていたので、首から肩が激痛です。使うわけないのに、パソコンやら英和和英辞典やらを常に持ち歩かないと気が済まないので、ただでさえ書籍類を購入して重いカバンがますます重くなっています。浜松駅前の騒音公害は相変わらずです。柚子とか十九とかの曲をギター一本クソ下手な演奏で強制的に通行人に聴かせるという非常識極まりない連中が浜松駅北口や静岡駅北地下通路にはウジャウジャいてたまりません。野外オナニーするのは勝手ですけど、人のいないところでして下さいよ。音がイヤでも耳に入ってくるので、これは野外オナニーというより露出狂ですよ。変質者ですよ。おまわりさーん、駅前に変質者がいっぱいいるので捕まえてくださーい!


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