2000/08/01 Tue 晴 暑 「映画鑑賞2」
勤務先退職記念映画鑑賞は2日目を迎えます。本日はDVDで2本。1本目は、最初から最後までスクリーンに映るのは青一色のみという、もうこの時点で「超」を3つくらい付けてもいいようなサブカル系作品「Blue」であります。何でそんなマニアックなのを私が手に取ったかというと、あれはかれこれもう7年前、私がまだ厨房、もとい中坊だったときですが、TBS系の深夜番組「アニマ・ムンディ」(←これ知ってる人大募集!!)で、この作品がちらっと紹介されたような記憶が頭の片隅に残っていたからです。 それにしても「アニマ・ムンディ」はすごかったな。「この番組は地球の意思に基づいて作られている。苦痛を伴う場合は、太陽光線を浴びることをおすすめする」「アリャマタコリャマタ先生登場」「おまじなーいクッキングー」「ワールド・アニマ・アップデートです ナマステー」って感じの、超シュール、超サブカル、超アバンギャルド、超電波系の番組でした。7年前には早すぎて時代が着いてきていませんでした。たぶん、中学2年生であの番組を見てたやつなんてほとんどいないと思います。いたら今頃、サブカルに走るか真性オタクになるかバスジャックしてます。とにかくもういっぺん見てぇ!!再放送するかビデオ化して下さい>TBS そんな昔話はこれくらいにして、問題の「Blue」です。オープニングとエンディングのロール以外、画面はとにかく青一色。色合いや明るさが変わったりすることも一切無し(日本発売盤なので日本語字幕はありますが)。以前サターンで出たゲーム「風のリグレット」みたいですね。それで、ナレーションや音楽や効果音が流れるのみ(ラジオドラマのような演技は無い)。内容は、監督であるデレク・ジャーマン氏(既に故人)のエイズ闘病記のようなのてすが、直接それについて述べたセリフは断片的で、長く続くことはなく、語られるのはむしろ散文詩のようなフレーズです。 まぁハッキリ言ってしまえば、1度見たくらいでは「何じゃこりゃ」な作品です。落ち着いた英語のナレーションと、環境系のようなBGのせいで、心地よく眠りを誘うような気もしたのですが、直接的に苦痛を表現したり、死を意識したりするセリフがだんだん多くなってきて引き込まれます。内容についてはあと2回くらい見ないと何とも言えませんが、こんな表現方法もあるんだという衝撃は素直に受けました。 画面はずっと青一色なら映画でやらなくてもCDでいいじゃん、という意見もありますが、それは全く的外れで。セリフの中には「青」を強調したものがしょっちゅう出てくるし、青一色のスクリーンを見ながらナレーションを聞きそして何を感じるか、というところにこの作品の意味があるのでしょう。あと、聴覚がフルに刺激されるこの作品では映画館の音響設備は不可欠だし、何より閉鎖空間での時間の共有ということはどんな映画にも共通して言えることで。「青一色を映画という媒体で表現する」ことに意味があるのであって、音声だけでは成立しない作品なのだと思います。おお、まさにメディアはメッセージ。なんてこと言うと、メディア論研究戦隊っぽくてカッコイイ? いや、ダラダラと小学生レベルの感想文を書いているだけで何がメディア論だとか言われそうですが。 2本目は、これまでその存在すら知らなかったのですが、大友克洋に影響を与えた海外のアニメ映画「ヘヴィメタル」です。店でパッケージを見て何だこりゃと裏を読んでみたら「『AKIRA』の大友克洋に……」などと書かれていたので、内容を確認することもなく秒速65536メートルでレンタルしてしまった代物です。公開は1981年で、約20年も前です。BGに使われている音楽の著作権問題が解消せず、1997年までビデオ化がされなかった伝説的作品のようです。いや、だから私はタイトルはおろか存在も知らなかったのですけれどね。 内容は、現在も発行が続いているアメコミ雑誌(?)「HEAVY METAL」から抜き出した数話のアンソロジーに、オリジナルのエピソードを付け加えた構成になっています。しかし、それらは独立しているのではなく一続きの物語となるように再構成されていて、さらに、最後に出てくるオリジナルエピソードのヒロインは、プロローグに出てくる登場人物に生まれ変わる形で終幕となります。 ただし、モロにカウンターカルチャーな時代に描かれた話で、かつ、ターゲットはプレイボーイ誌と同じ層を想定しているので、そこにあるのは「セックス、ドラッグ、そしてロックンロールだぜイエーイ」という健全な青年男子の欲望むき出しな内容であります。何かあったらすぐにコロシ、出てくる女性はみんな巨乳(←一発で変換できない単語)、サイケな色遣いにぶっ飛んだ話の展開、と見事なまでにイッてくれてます。一応全部終わったところでオチは付いているのですが、もともとバラバラの話なので全部見終わっても結局何が言いたかったのか全く分からないという。しかし見ている間は楽しいので全然オッケーなのです。グルーヴ感重視というかそれだけで作ったって感じでいいです。 でもちゃんと絵的に凝るところは凝ってるし、DVD版で追加されたメイキングを見てみると、模型なんかも利用して割と手の込んだ手法も使っています。そんなところはオタク仕事で好感が持てます。あと、最初のエピソードが「フィフス・エレメント」(←私の中ではかなりの駄作)そっくりじゃん、と思っていたら、メイキングの中でスタッフの一人も同じこと言っていました。大友に限らずそれくらいいろんなところに影響与えていたってことでしょうな。しかも「ブレードランナー」より先に。 というわけでこの手のカルチャーがお好きな方には自信を持ってお勧めできる洋モノアニメでした。などと日誌を記述するのに1時間半もかかって、雑務もあって結局寝るのは遅いし。休みに入ってもあんまり変わらんじゃん。 |