業務日誌

2008/03/09 Sun 「豊かさとは何か」

商品化されたありとあらゆるモノがあふれ、お金さえ払えば何でも手に入る現代――戦後復興、高度経済成長を経て、我が国は世界的にも類を見ない豊かな社会をここに体現しました。しかし、毎日ニュースとして報じられるのは殺人、自殺、いじめ、そしてその背景にある地域社会の崩壊、人間関係のバーチャル化、心の荒廃といった暗い話題ばかり。確かに私たち現代人は、物質的にはかつてない豊かさを手にしましたが、精神的には果たして豊かと言えるのでしょうか。あるいはむしろ、過去の時代に比べ貧しくなっている面が存在することも、否定できないのではないでしょうか。豊かなモノに囲まれて暮らす私たちも、本当の豊かさとは何か、今あらためて考え直してみる必要があるのではないでしょうか?

……といった物言いはおそらくラスコー洞窟の壁画にも表現されているのではないかというくらい大昔から繰り返されていることだと思われますが、まったくもって大きなお世話だよ! だいたいこういう言い方する人って現代人の心の貧しさを憂えているようで実際それより言いたいのは大企業批判だったりテクノロジー批判だったりしてその後スローライフとか言い始めてはいはいロハスロハス。物質的な豊かさと精神的な豊かさって基本的には独立事象でしょう。たくさんのモノに囲まれながら心の貧しい人、経済的には貧しくても心の豊かな人、そりゃ確かにそういう人たちは存在しますけど、両方豊かな人もいるし、両方貧しい人もいる、それだけのことじゃないですか。何か言えるほどの相関があるとは思えない。だったら私は物質的にはとにかく徹底的に豊かなほうがいいですね。誰に何と言われようが、モノの多寡は豊かさのひとつの指標なのであります。消費は美徳! ぜいたくは素敵だ! いざなぎ超えのこの大好況、たくさんのモノに囲まれて生活したい!

というわけでモノが……

ジャンク箱の山

白い箱は全部ジャンクパーツやケーブルの切れ端など生活にはまったく必要のないもの 最終的にもう7〜8箱増えました

モノが……

本の一部

本とCDの一部 一番奥のすき間に積んであるのは昔の使いやすかったAmazon箱

引っ越し準備中なのですが、モノがあふれて収拾が付きません。だいたいやたらモノに執着してあれもこれも取っておくこういう連中って精神的にどこかおかしいんだよな。なんていうか、心の貧しいヤツって感じ?

さて本日朝9時に引っ越し業者が荷物を取りに来るのですが、果たして間に合うのでしょうか。あそうそう、ここ7〜8年くらい開けてない段ボール箱を開けたらこんなものが出てきました

チェック柄のシャツ

うはwwwwテラオタスwww って慣れない「w」を使うもんじゃありません。オタク式都市迷彩服であるところのチェック柄、別に嫌いになったわけではないのですが、そういえばいつの間にか着なくなっていました。いや当時と比べて着るもののセンスが良くなったということはまったくないので、もし今でも実家暮らしだったらきっと母親がスーパーで買ってきたものをそのまま着ていることだと思いますが、やっぱり自分で服を買うようになるとチェックは選ばなくなるものですね。同様にこの先おそらく二度と着ることはないと思われる服がホコリまみれかつヨレヨレになって箱の底から出てきたので、まとめて資源回収に。さらば青春の時……

古い服をあっさり捨てる

服はこんな簡単に捨てられるのに、なんで紙切れ一枚、ケーブル一本が捨てられないんでしょうね。そうこうしているうちに日が昇りなんとか荷物もおおかた片付いて引っ越し業者の軽トラック2台が到着「おはようございますー、じゃあまずちょっとお部屋の中見せてください……ウワッ」ウワッて荷物量への一驚を隠さないところが素敵な担当の方でした。

中野区から墨田区への都区内引っ越しなので、積み込んだら直接転居先へ。私はバイクでトラックを追走。到着後の荷下ろしも素早く、結局朝のトラック到着時から2時間半ほどで全行程が完了しました。今回はGoogleで検索して出てきた引越ナビ.comというところに頼んだのですが、これで32000円(軽トラ16000円×2台)は安い。2台目のトラックの荷台にはもう少し積めそうな感じだったので、よほどの大荷物でない限りワンルームなら2台で十分のようです。

さて、作業が終わってあらためて室内を眺めると……あのー大家さん、なんか部屋の中に九龍城の巨大模型があるんですけど、ここってこんな物件でしたっけ?

荷物が九龍城のようだ

写真だと構図が悪くてあまりわかりませんが、実物はもっと迫力があります(3月末時点で2割ほどしか片付いておらず)

九龍城の解体にかかりたいところですが、まだ粗大ゴミ等が残っている旧居に戻って片付けを続行。夕方になってようやく本当に引っ越し作業完了(実際は数日後に敷金返還額をめぐり不動産業者と折衝がありましたが)し、昨日から徹夜の力仕事で死にそうなのですが、今夜は昨年5月以来のMOTOCOMPOによるロングセットのライブなので、掃除に使ったほうき、チリ取り、ガムテープ、その他残った荷物をかついだまま渋谷青い部屋へ。さすがに荷物は途中で駅のコインロッカーに入れましたが。

リュックに突っ込んだポスターの筒

運搬する残った荷物にはオタクらしくビームサーベルも含まれております。中身はアニメのポスターでなく営団地下鉄時代のメトロネットワークカレンダーなど貴重な歴史遺産が中心

そしてこのライブが引っ越し疲れなど余裕で吹き飛ばす素晴らしさで、いや本当に今日まで生きていて良かった。昨年5月の原宿のときも同じようなことを感じたのですが、そのときが「今までにない、針が120%くらいまで振れたパフォーマンス」を見られたことに対する感激だったのに対し、今回は「最初から最後まで、針が100%から微動だにしないパフォーマンス」を見られたことへの感激です。

もちろん人間ですから細かいミスタッチ的なところがないわけではないですがそんなことは全然問題でなくて、普段からすると意外な曲順を場の盛り上げにつなげていたり、アルバムバージョンから大きく変えたアレンジでありながらお客さんがここはきっと聴きたいはずというフレーズはちゃんと目立って聴こえてきたりで、周到に用意された変化球なのに全部ストライクで収まっていくような鮮やかさというか、あるいはレッドゾーンまではまだまだ回せるけどその手前にあるトルクの山の部分で回転数をきっちりキープするような巧さというか、いやつまんない比喩は書けば書くほど安っぽくなのでやめますが、計算された余裕のあるパフォーマンスがいちいちツボにはまって本当に楽しく過ごせました。「BOYHUNT」とか昔の曲を最新のアレンジで再構成した演奏も満載で、私の耳はだいたいの場合リアレンジには拒絶反応を示すのですが、MOTOCOMPOはまったくそういうことがなく、常に変わっているのにどれを聴いても幸せになれるのがすごい。

ステージが終わった後、物販で買ったポスターにサインしてもらえるというのでおそるおそるDr.USUIとchihoさんのところへ。なんでおそるおそるって、MOTOCOMPOのライブを観るようになってもう7〜8年なのですが、一度chihoさんとネットでメッセージを交わしたくらいで、これまで直接お話ししたことなかったんですよ。「あのーchihoさん、自分○○ってハンドルで一度……」

chihoさん「知ってるよー、見ればわかるもん(ニッコリ)」

  ( ゚д゚)      ・・・
_(__つ つ_____
  \ ポ ス \
 .   \ タ ー \
 .     ̄ ̄ ̄ ̄

  ( ゚д゚ )
_(__つ つ_____
  \ ポ ス \

うれし泣きしながら帰宅。

引っ越しのホコリとライブの汗で文字通り汚れた人になっているので、帰ったら真っ先にお風呂に……ええと、ガスの開栓がまだでした。しかし新居は目の前の道路を挟んだ向かいが銭湯なので湯が出なくても問題なしです。そのかわり非常に下町らしい湯温設定で、引っ越しで手にできた数々の小キズに湯が痛烈に染みましたが。でも狭いユニットバスに比べて銭湯は本当に気持ちいいし身体にも良さそうなので、このままガスを開けずに上京当時以来の銭湯生活を復活させるというのも良いかもしれません。

ああついでに言えば、うちには冷蔵庫も洗濯機もありませんよ。どうせ料理はしないしコンビニもあるから冷蔵庫なんて必要ないですし、週に一度の洗濯は近くのコインランドリーにある大きな洗濯機で一気に行ったほうが効率的ですし。都市においては、あれもこれも自分で所有するのではなく、むしろ部屋の中のモノは最小限に抑えて、その分街のリソースを最大限活用するのが、真の豊かなライフスタイルなのだと私は考えておりますよ、ええ。

2007/12/14 <<
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